家族を見送る

順番だから。
親を見送ることもあるのです。

父を見送り、四十九日。
入院してからは、まだ先は長く、長いと思っていました。
退院して、介護をして、ゆっくりと別れを受け止めていくのだと思っていました。
家族も、病院の先生も、そう思っていたのです。
前向きな話をした、ほんの少し後。
急に状況はすべて変わってしまったのです。

見送った後は、やることがたくさん。
母の代わりに手続きをしつつ。
仕事は、普通にある。
他にもたくさん仕事が、ある。
家族の忙しさも相まって、休みがない。

忙しかったおかげで、張り詰めていたおかげで。
別れの悲しみなんて、感じない。
どこか遠くの病院にでもいるんじゃないかな。
うまく、思い出すこともできない。

よく、突然ガクン、と来るよと言われます。
まだ来てないけれど、なんだかその言葉の意味がわかるような。

父は、しあわせだったのかな、と母がポツリと。
とても強く、自分に厳しい人でした。
だから最期まで、家族に甘えたりしなかった。
私は、思う。
最期まで強い父のまま、見舞に来る母の心配をしていた父は、
きっとしあわせだったと思う。
大切に想う母を守ることができたのだから。
最期まで父らしくいられたのだから、それでいいんじゃないかな。

まだ、実感もなく。
ただ、さらさら時間は過ぎている、そんな感じ。