「職業としての小説家」と職業としてのセラピスト

台風の猛威が襲っている中、この本が届きました。
いろいろと話題になっている本ですね。

以前から、「春樹さんの本」が好きです。
基本的に、読んだ本の内容は、すっかり忘れるタイプです。
なので、どの本が好き?と聞かれると困るのですが、
読んでいると、独特の音楽が流れてくるような。
その心地よい感覚が、好きなのです。
それを体感したくて、本を読んでいる感じです。

この本、エッセイです。
春樹さん、作家生活35年!ですって。
35年経ったからこそ、書けることが丁寧に。
小説は小説なので、あまり作家本人の人柄までそこまで興味はないのですが。
(興味がない、というよりは小説と作家は別個だということね)
あらためてこの本を読んで、「春樹さん」も好きになりました。

春樹さんの仕事への向き合い方。
強みを活かす、にも深く静かな覚悟がある。(←コレ、私の意訳)
これ、どんな仕事にも通じるな、と。
少なくとも、私の仕事への向き合い方は、
春樹さんのようでありたい、と思います。

そして、実は12章から成るこの本。
私が最初に読んだのは、最後の12章。
春樹さんが、河合隼雄さんと出会う話。
河合隼雄さんは、心理学の世界ではとても有名な方。
臨床心理家として、人の心に寄り添い続けた方。
春樹さんとの出会いのエピソードから、
隼雄さんの人柄を伺い知ることができて、
さらに隼雄さんに対する憧れや尊敬が深まりました。

ノーベル賞が獲れる?!と毎年騒がれるほど世界中で有名な春樹さん。
その人が今、どんなことを考えているのか知ることができるこの本。
ただ、私にとっては。
この本の文字を追っている時に流れる感覚が、
とてもとても心地よかったのです。
それは、春樹さんの小説を読むときに得られるのと同じような心地よさ。

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